最後の手紙
1.最後の手紙
2.ほたる
3.31歳
4.忘れられない人
何年か振りに君からの手紙を読んだ。
実は、つい最近、君からの手紙を読もうと思って
部屋中探したけど見つからなかったんだ。
どうやらしまった場所を忘れてしまっていたらしい。
ようやく見つけた君からの手紙を読み返してみる。
”ラブレター”という題目をもらって何度も机に向かってみた
…書けない。
狡さを覚えたから書けないことはない。
ただ、あのときみたいには書けなかった。
君がくれた手紙を読み返してみる。
あれかれもう十年以上経っているのに、もう忘れてしまったと
思っていたのに、あの頃の優しい気持ちの名残が心を燻る。
手紙を読み返す前には抱けなかった感情が、どんどん溢れてくる。
本当に不思議。
不器用で幼かった僕と君。
自分の気持ちばかりが先行して、相手を思い遣る気持ちが足りなかった二人。
手紙の中でしか素直になれなかったね。
お互いごめんねって繰り返してたっけ。
溢れ出す感情や想いを大切にしたくて臆病だった僕。
照れと戸惑いで素直になれなかった君。
無防備な自分を曝け出しあった。
手紙を読み返して、なんとも言えない優しい気持ちになる。
忘れてあげることも愛情表現のひとつ。
そう思ったこともあった。
忘れたくて君の写真をみることができなかった。
この手紙だって何年も読めなかった。
今日やっとわかったよ。
そう、君はきっとずっと忘れられない人なんだ。
愛しき君から、忘れられない人へ。
どうやらこれが最後の手紙のようです。




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